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FPVドローンの無線局開設方法を初心者向けに解説|5.8GHz VTXを使う前に必要な手続き

FPVドローンの無線局開設方法を初心者向けに解説|5.8GHz VTXを使う前に必要な手続き

FPVドローンを日本で飛ばすとき、つまずきやすいのが「無線局の開設」です。とくに海外製の5.8GHz帯VTX(映像送信機)を使う場合、機体を買って電源を入れればすぐ飛ばせる、という話にはなりません。操縦の練習や航空法の確認とは別に、電波法上の資格、無線設備の確認、無線局免許の申請が必要になるケースがあります。

この記事では、FPVドローンの映像伝送でよく使われる5.8GHz帯を中心に、無線局開設の流れ、必要書類、JARD保証、電子申請での注意点を初心者向けに整理します。2026年5月時点の公的情報・関連団体情報をもとにまとめていますが、実際の申請では必ず総務省、JARD、管轄の総合通信局の最新案内を確認してください。

先に結論:趣味・非営利で5.8GHz帯FPVを使う一般的なケースでは、第四級アマチュア無線技士以上の資格を取得し、VTXを含むアマチュア無線局の開設申請を行う流れが基本です。免許状、またはデジタル化後の免許情報を確認できる状態になる前に電波を発射してはいけません。

屋外に置かれたFPVドローンと送信機とゴーグルの写真

FPVドローンで無線局開設が必要になる理由

FPVとはFirst Person Viewの略で、ドローンに搭載したカメラ映像をゴーグルやモニターで見ながら操縦する方法です。FPVの映像は、機体側のVTXから電波で送信されます。この電波が日本国内で自由に使える周波数・出力・方式でない場合、無線従事者資格や無線局免許が必要になります。

JARDは、FPVドローンをアマチュア無線により利用する場合、アマチュア無線技士の資格とアマチュア無線局免許が必要だと案内しています。また、海外製VTXには日本のアマチュア無線局では認められない周波数を発射する機種も多く、国内の技術基準に合うよう確認・改造・保証が必要になる場合があります。参考:JARD「ドローン FPV の免許/増設の手続き」

2.4GHzの技適機と5.8GHz VTXは分けて考える

市販の一般的なカメラドローンでは、2.4GHz帯などの技術基準適合証明を受けた無線設備が使われていることが多く、利用者が個別に無線局を開設しないケースもあります。一方、レース用や自作FPVで使うアナログ5.8GHz VTXは、機種・周波数・出力によって扱いが変わります。購入前に「日本国内で使えるか」「保証実績があるか」「申請に必要な資料が入手できるか」を確認しましょう。

無線局開設までの全体フロー

初めてFPVドローン用の無線局を開設する場合、全体像は次の順番で考えると迷いにくくなります。

  1. 使いたいVTXの周波数、出力、型番、資料を確認する
  2. 利用目的がアマチュア無線で扱える範囲か確認する
  3. 第四級アマチュア無線技士以上の資格を取得する
  4. VTXが技適機か、保証が必要な機器か確認する
  5. JARDなどの保証が必要な場合は保証手続きを行う
  6. 総務省の電子申請または書面で無線局の開設申請を行う
  7. 審査完了後、免許情報を確認してから運用を始める

重要なのは、無線従事者免許と無線局免許を混同しないことです。無線従事者免許は「人の資格」、無線局免許は「その無線設備を使って電波を出すための免許」です。第四級アマチュア無線技士に合格しただけでは、VTXを使ってよい状態にはなりません。

屋外ベンチに並ぶFPVレーシングドローンの写真

ステップ1:VTXの仕様と利用目的を確認する

最初に確認すべきなのは、VTXの型番、発射できる周波数、最大出力、系統図、説明書です。申請時には、どの送信機をどの条件で使うのかを説明できる必要があります。海外通販で安価なVTXを買った場合、申請に必要な資料が不足していたり、日本で使えない周波数を含んでいたりすることがあります。

また、アマチュア無線は「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信、技術的研究」のための無線通信です。業務空撮、点検、警備、配送、イベント運営などの事業利用では、アマチュア局ではなく別の無線システムや資格・局種を検討する必要があります。

ステップ2:第四級アマチュア無線技士以上を取得する

趣味のFPVで5.8GHz帯VTXをアマチュア無線として使う場合、まず第四級アマチュア無線技士以上の資格を取得します。試験、講習会、CBT方式など取得ルートは時期により変わるため、最新の試験日程や申請方法は日本無線協会、JARD、総務省関連ページで確認しましょう。

資格を取ったら終わりではありません。資格取得後に、実際に使うVTXを含めた無線局の開設申請を行います。既にアマチュア局を持っている人がVTXを追加する場合は、新規開設ではなく変更申請・届出になることがあります。

ステップ3:JARD保証が必要か確認する

FPV用VTXの多くは、国内の技術基準適合証明を受けた一般的なアマチュア無線機とは扱いが異なります。そのため、JARDの基本保証などを利用して、申請する無線設備が技術基準に適合していることを確認してもらう流れになることがあります。

JARDの案内では、書面で新規開設を申し込む場合の例として、無線局免許申請書、返信用封筒、アマチュア局の無線設備の開設保証願書、送信機系統図、二次業務の周波数の使用に当たっての確認書などが挙げられています。必要書類は申請方法や機器により変わるため、必ず最新の案内を確認してください。

保証実績がある機種でも自動的に使えるわけではない

「保証実績があるVTX」と「自分が無免許で使えるVTX」は別の話です。過去に保証された機種であっても、自分の無線局として申請し、免許を受ける必要があります。中古機や同型機を使う場合も、送信条件や改造状態を確認しましょう。

FPVレーシングドローンの機体を近くから撮影した写真

ステップ4:総務省の電子申請または書面で開設申請する

アマチュア局の申請・届出は、総務省の「電波利用 電子申請・届出システムLite」などで行えます。e-Govポータルでも、同システムはアマチュア無線の電波利用に関する申請・届出が行えるものとして案内されています。参考:e-Govポータル「情報通信」

2025年10月1日以降は、アマチュア局の申請書類や手数料、免許状のデジタル化に関する扱いが変わっています。書面申請を使う場合は旧様式を使わず、総務省の電波利用ポータルから最新様式を取得することが重要です。参考:総務省 電波利用ポータル「アマチュア無線局用各種申請書ダウンロード」

項目確認すること
申請者情報無線従事者免許証の情報、住所、連絡先
無線設備VTXの型番、周波数、出力、工事設計
保証JARDなどの保証が必要か、保証番号・資料があるか
手数料電子申請・書面申請で金額や納付方法が異なる
免許確認審査完了後、免許情報を確認してから運用開始

業務利用や5.7GHz・5.8GHz実験局は別ルート

FPVドローンの無線局開設で注意したいのは、趣味のアマチュア無線ルートと、業務・実験用途のルートを混ぜないことです。業務利用では第三級陸上特殊無線技士などが関係する無線システム、5.7GHz帯の無人移動体画像伝送システム、実験試験局など、目的に応じた別の制度を検討します。

近年は5.8GHz帯のドローン用無線局について、特定実験試験局制度を活用した実験運用の動きもあります。総務省は2025年に、5.8GHz帯特定実験試験局の使用可能地域に関するニーズ調査を実施し、使用可能地域の見直しに向けた手続きを進めています。これは一般の趣味FPVを無手続きで使えるようにする話ではなく、定められた周波数・地域・条件で実験局の手続きを簡素化する制度です。参考:5.8GHz帯特定実験試験局の使用可能地域に関するニーズ調査の結果

無線局開設前のチェックリスト

  • VTXの型番、周波数、出力、説明書、系統図を確認した
  • 利用目的がアマチュア無線で扱える範囲か確認した
  • 第四級アマチュア無線技士以上の資格を取得した
  • JARD保証などが必要か確認した
  • 新規開設か、既存局への増設・変更か整理した
  • 電子申請・書面申請のどちらで進めるか決めた
  • 免許情報を確認する前に電波を発射しない
  • 航空法上の機体登録、目視外飛行、飛行許可・承認も別途確認した

よくある質問

アマチュア無線4級を取ればすぐ5.8GHz FPVを使えますか?

使えません。アマチュア無線技士は人の資格であり、VTXから電波を出すには無線局の開設申請または変更申請が必要です。免許情報を確認できる状態になってから運用します。

海外通販の5.8GHz VTXは日本で使えますか?

機種によります。日本のアマチュアバンド外の周波数を発射する機種や、申請資料が不足する機種もあります。購入前に周波数、出力、保証実績、系統図の入手可否を確認しましょう。

仕事の空撮でアマチュア無線局を使えますか?

原則として、アマチュア無線は営利・業務目的の通信には使えません。業務利用では、用途に合った無線システム、資格、無線局種を管轄の総合通信局や専門家に確認してください。

無線局を開設すれば航空法の許可も不要になりますか?

不要にはなりません。無線局免許は電波を使うための手続きです。100g以上の機体登録、目視外飛行、人口集中地区、夜間飛行など航空法上の手続きは別に確認が必要です。

まとめ:FPVは「資格取得」より先に、使うVTXと目的を整理しよう

FPVドローンの無線局開設は、難しい専門用語が多いものの、順番を分ければ整理できます。まずVTXの仕様を確認し、趣味利用か業務利用かを切り分け、アマチュア無線で扱える場合は第四級アマチュア無線技士以上を取得します。そのうえでJARD保証の要否を確認し、総務省の電子申請または書面で無線局の開設申請を行います。

無線局免許は、FPVを安全かつ合法的に楽しむための土台です。機体を買う前、VTXを交換する前、イベントやレースに参加する前に、電波の手続きを一度きちんと確認しておきましょう。

画像出典:アイキャッチ Josh Sorenson / Wikimedia Commons(CC0、リサイズ済み)。本文画像 Wacou123、Dmyers86、Commanderbryce / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、リサイズ済み)。